治療
大抵の方が、歯や歯ぐきの状態が悪くなることが、あごの骨に影響することをご存じないかと思われます。
最近になり、歯みがき剤のCMや広告などで「歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶けます」とやっているものもありますので、多少認知度は上がっているかもしれません。
以前抜歯のお話しをしましたが、歯を抜く時は骨と歯の間にくさびを打つような感じで外して行きます。
それくらい通常の健康な歯は骨と密接しており、お互いに強い影響があります。
歯そのものが傷んでなくても、歯ぐきの状態が悪いことにより骨が溶け、歯が抜け落ちることや、抜歯の際に骨密度の低い骨粗しょう症の方は骨が新生しにくいため、治りも時間がかかります。
骨粗しょう症…こちらも最近ではよく耳にしますよね。
30歳代後半をピークに骨量は減少し、全身の骨が劣化することは、男女問わず誰にでも見られる傾向です。
その症状が重い場合は骨粗しょう症と言われます。
転倒などで簡単に骨折したりするため、寝たきり状態になりやすいと言われています。
また閉経後の女性では、重度の骨粗しょう症ほど歯周病によって早期に歯を失い、総入れ歯になるという報告もあるそうです。
それほど歯と骨の関係は深いものなのです。
先日、かよ歯科クリニックにお電話で問い合わせがありました。
若いお母さんの声で、我が子を心配に思っての内容でした。
産まれて初めての集団検診、4か月健診で「舌小帯がくっつき過ぎてるから、早めに切った方がいい」と言われたそうです。
おしゃべりするようになる前に切った方がいい、くっついてるとその練習もできない…というような話をされたそうです。
舌小帯とは、舌の下にある筋になります。この筋がしっかり付いている状態で、いわゆる舌足らずなしゃべり方になってしまうことです。
そのような方は「あっかんべ~」のように舌を前に出した時に、舌の先端が引きつってハートを逆さまにしたような形になります。
ですが、話を聞くと4か月の赤ちゃんです。特に母乳やミルクを飲むのに支障をきたすことはないそうです。
本当に切らなければいけないんでしょうか?
この舌小帯は放っておいても成長と共に変わっていくこともあり、また今現在なんの支障もなくスクスクと成長中の4か月の乳児に施す必要性が感じられません。
言葉をしゃべりはじめ、「ら」の発音が言えるくらいの年齢(園児くらい)になった頃に発音障害(専門的には構音障害といいます)がある場合は、小帯切除をおススメします。
以前ブログでもご紹介した上唇小帯の切除同様、とても簡単な手術になります。
舌小帯の異常は発音障害だけでなく、歯みがきの際に筋が邪魔をして汚れが残ってしまう・筋に引っ張られて歯槽膿漏にもなりやすい等も考えられます。
お母さん、これからも可愛い我が子を大切に育ててくださいね~(^_^)
みなさん、抜歯ってどうやるか知ってますか?
マンガみたいにペンチでつかんで引っこ抜くとか?
グラグラで抜け落ちそうな状態であればそれでも抜けるでしょう。
でもしっかり生えている歯を抜く場合は、歯とあごの骨の間にくさびを打つようにして、徐々にあごの骨から歯を浮かすような感じで抜いていきます。
ほとんどの方が「え?!骨?」と驚かれるかと思います。
歯の1本1本、またその根っこの1本1本に神経や血管が通っています。
歯を抜くということは、その神経や血管を絶つことになりますので、出血もしますし、麻酔が切れると痛みが出たりします。
また、抜歯後の処置がいい加減だと、出血が止まらなかったり、治癒不全やあごの骨の中に膿の袋を作ることもあります。
抜歯する際、力任せに抜こうとすると、隣の歯やあごの骨を痛めることがあります。
私は左右両方とも利き手なので(普段、箸は左でペンは右)、狭い口腔内でも両手を駆使し、手の感覚を研ぎ澄ませて慎重に行っています。
ただ、抜歯は数をこなせば上手に抜けるというわけではなく、この感覚が重要なのです。
一言でいえば、「抜歯ってセンスです」(…というか歯科治療全般かなりこのセンスが影響するものだと思います。)
このセンスがない歯科医師にあたると、痛かったり時間もかかったりして、はたまたお財布までにも響きますよ~(~_~;)(簡単に抜ける歯でも難抜歯という項目で算定されて保険点数アップ=会計アップなので)。