歯周病治療Medical

日本人が歯を失う原因、第1位は歯周病!

歯周病は、プラーク(歯垢)の中にひそむ歯周病菌による感染症です。20代から増加の傾向にあり、30代で予備軍を含むと約8割の方が歯周病といわれています。
初期の段階では、痛みなど自覚症状がないため自分で気づいた時にはかなり進行していることが多く、歯周病が進行してしまうと歯を支えている骨が溶け、歯を支えきれずグラグラになり、最後には抜けてしまいます。

虫歯もなく長年歯医者に行っていない方ほど、かなり進行してしまっていることが多いので、歯周病予防には定期的なメンテナンスをオススメします。早期であれば、適切な処置を受けることにより改善され悪化を防ぐことができます。

歯周病の段階

健康な状態

軽度歯周病

中等度歯周病

重度歯周病

●軽度歯周病:歯肉炎

歯肉炎とは、プラーク(歯垢)の中の歯周病菌が歯肉(歯茎)に炎症を起こした状態のことです。健康な歯茎はピンク色で引き締まっていますが、歯肉炎になると歯茎が赤くなり歯を磨くと血が出ることもあります。しかし、歯肉炎の状態なら、正しい方法で歯磨きをすれば改善されます。

●中等度歯周病~重度歯周病:歯周炎(歯槽膿漏)

歯周炎とは、歯肉炎からさらに進行した状態です。プラークの中の歯周病菌が原因で、徐々に歯の周りの組織を破壊し歯を支える骨(歯槽骨)を溶かし、その状態を放置するとやがて歯が抜け落ちてしまいます。

歯周病の段階 歯周ポケットの深さ
健康な状態 0~3mm
軽度歯周病 3~5mm
中等度歯周病 5~7mm
重度歯周病 8mm~

歯周病治療の流れ

歯茎の検査やブラッシング指導、スケーリング、ルートプレーニングなどの初期治療を行い、お口の中の環境を整えていきます。その後、必要に応じて歯周外科治療などの根本的な治療に移ります。

プラークコントロール

何よりも毎日の歯磨きが大切です! 毎日隅々まで磨いているつもりでも、プラーク(歯垢)が除去できていなければ意味がありません。正しい歯磨き方法を、指導いたしますので“プラークのない状態をキープ(プラークコントロール)”するよう心がけましょう。

スケーリング

歯茎から見えている部分の歯石をスケーラーなどの専用の器具で除去します。軽度の歯周病であればプラークコントロールとスケーリングで改善されることがほとんどです。

SRP(スケーリング・ルートプレーニング)

中等度歯周病まで進行している場合は、「スケーリングおよびルートプレーニング(SRP)」という処置が必要になってきます。歯周ポケットの奥深くまで歯石がある場合は、多少の痛みを伴いますので局所麻酔を使うこともあります。さらに歯根の表面をツルツルにし歯石が再び付きにくい状態にします。

フラップ手術

中等度以上進行している歯周病で「スケーリングおよびルートプレーニング(SRP)」をしても改善が見られない場合や、歯周ポケットのかなり深い位置にある歯石が除去しきれない場合は、麻酔をし歯肉を切って見えなかった深部の歯石を完全に除去します。

歯周病が全身に及ぼす影響

歯周病は歯茎の炎症ですが、細菌や細菌が作った毒素が血液に乗って体中をかけめぐることになり、その結果様々な病気を引き起こすことがよく指摘されています。特に歯周病と関連があるといわれている5つの症状についてご紹介します。

糖尿病

歯周病は糖尿病の合併症として捉えられています。糖尿病の人は、糖尿病でない人に比べて歯周病になるリスクが高いという報告や、歯周病の治療によって歯茎の炎症が改善すると、インスリンが働きやすい状態になって、血糖値が改善する可能性があるという報告があります。

心疾患

歯周病のある人は、心疾患を発症するリスクが高いことが報告されています。重篤であればあるほど、その発症リスクが高くなるとも言われています。これは、歯周病によって歯茎で産生された炎症性物質が血流を介して心臓血管にも影響を及ぼすためと考えられています。

早産・低体重児出産

つわりによって口腔清掃が不良になりやすいため、歯周病に罹りやすくなります。歯周病による炎症性物質がへその緒を通じて胎児に影響するため、早産・低体重児出産の確率が高まると考えられています。

誤嚥ごえん性肺炎

自らの唾液や食べ物が誤って肺に入り、肺炎を起こしてしまいます。これを誤嚥性肺炎といい、唾液中に含まれる細菌が主な原因です。高齢、認知症、脳血管障害、手術後など、食物の飲み込みを上手く行えない人は、特に注意が必要です。

骨粗鬆症

骨が弱くなると、歯を支える歯周組織にも影響があると考えられています。歯槽骨が弱くなると歯周組織の破壊が進みやすくなるため、骨粗鬆症は歯周病を進行させる一因と考えられています。

歯を失ってしまっても、そのままにせず補いましょう

歯を失ったまま放置していると、抜けた歯の前後の歯が動いたり倒れたり、咬み合っていた歯が出てきたり(挺出)、咬み合わせや歯並び全体に影響を及ぼすこと(病的歯牙移動)になります。他の健康な歯を守るためにも、抜けてしまった場合はきちんと歯を補いましょう。